サナア近郊で一番の見どころといえば、ロック・パレスRockPalaceで知られた、北西約15kmの所にあるワディ・ダハールが挙げられる。乾いた赤茶色の岩山に囲まれた小さな盆地は、緑にあふれ、周囲の山の上から見るとみずみずしいオアシスのようだ。
 豊かな緑の中を走っていくと、巨大な岩壁を背景にした町並みが見えてくる。この町はアル・カビールAlQabil周りの岩山に溶け込んでいるかのような石造りの建物が美しい。
 ここの一番の見どころは、小さな丘の上に建つロック・パレスRockPalace(DarAlHajar)。岩壁の端に立って見ると不安定な印象を受けるこの建物は、1930年代にイエメンを支配していたイマームの夏の別荘だった所。もともとここには有史以前に造られた建物の遺跡があり、現在もその井戸は健在だという。5階建ての建物は現在政府が所有しており、内部を見学することができる。


 ワディダハールの山の上で、ジャンビーアダンスを見学しました。途中陽気なイエメン人に誘われて踊りの輪の中に入りました。


 サナアから北西に約54km、よく整備された道路を1時間ほど行くと、珍しい町がある。350mの岩壁の上と下に同じ民族が暮らすユニークな双子都市、シバームとコーカバンだ。山岳地の部族は、1ヵ所に集団で暮らしているのが普通だが、ここは同じ部族が同じ時期に、違う場所に町を築いた珍しい例。そして1000年にもわたり、それぞれの役割を決めて山の上と下で助け合って生ぎてきたのである。下にあるシバーム(標高約2500m)は農業と商業の町、周辺には耕地が広がり、町なかを大きな道路が走る。一方、岩壁の上の町コーカバンは軍事を担当する。常に敵の接近を監視し、シバームが外敵に襲われると、人々は山を駆け登りコーカバンの人々に助けを求める。このふたつの町の住人は、1年に一度集まり、互いの無事を確認しあう。この行事は今でも祭りとして続いており、ふたつの町は大変な熱気に包まれる。ぷたつの町の標高差は約350m、1994年,ドイツの援助により、このぶたつの町をつなぐ舗装道路か完成した。

下の町シバーム
上の町コーカバン


 シバームからメインロードを離れ、10分ほど山を登ると、こつこつとした岩の固まりのような村の前に到着する。長い間、部族間の争いと他民族支配への抵抗を続けてぎた山岳部族の村の典型的な形を、ここでは目にすることができる。
 スーラは小高い丘の上に造られた村で、山を背に東側の斜面にある。周りは段々畑が広がり、その内側には城壁がある。この構造は戦略的に大変優れたもので、昔の人々の知恵に感心しないではいられない。まず丘の上にあり敵を発見しやすい。そして村の背は目然の要塞に守られているので、前方から来る敵を防げばよい。そして段々畑と城壁に囲まれているために、敵は攻めにくい。16世紀、強大なオスマン・トルコがイエメンを支配していたとぎも、この村は独立を保っていたというから驚きだ。もちろん今は敵に攻められることはないが、生ぎた歴史を学ぶには絶好の場所だ。
 岩山に向かって城壁に沿って左に歩くと重厚な門がある。門をくぐるとすぐ右側にはモスクのドーム、正面には石造りの家が密集している。細い路地に入っていくと、大昔にタイムトリップしたかのよう。何百年も変わらない家々は細かい装飾が施されて、窓の形も丸いものもあれば四角のものあり、実にバラエティに富んでいる。窓に木の枠がはめられ、中が見えないようになっているのは女性の部屋。注意して観察するといろいろな発見がある。歩き回るだけで楽しい。












背景原画




























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