遠くからでもはっきり、たくさんのミナレット(尖塔)が見える町がある。17世紀から19世紀にかけて、タリムはイエメンにおけるスンニー派イスラム教の中心地だったのだ。数多くのモスク以外にイスラムの図書館があり、多くの宗教家がここで学んだという。町の規模はそれほど大きくないが、現在でも360以上のモスクがあるといわれる。
 町なかを4WD車が走るようになっても、細い路地を歩いているとあちらこちらからコーランを読む声が聞こえてくる。時代は変わっても、タリムの人々の信仰心は変わっていないようだ。



 イエメン東部の広大な砂漠に、アラビア半島最大のワディ(澗れ川)がある。
ワディ・ハダラマートは長さ160km、幅は平均で2kmの巨大な谷だ。雨が降れば今でも巨大な流れを作り出す。途方もない歳月の間に浸食され、深さが300mにも及ぶ谷の底には、現在20万もの入々が暮らしている。
 ワディ・ハダラマートの中心都市、サユーンの人口は3万人。この町は百万のヤシに囲まれた町と呼ばれている。巨大な谷、ワディ・ハダラマートの、高さ300mの岩の間に広がる鮮やかな緑の絨毯、近づくにつれ緑の間にモスクやミナレット(尖塔)、そして石で造られた建物が見えてくる、アラビアンナイトの物語に登場しそうな美しい町だ。



砂漠のマンハッタン シバーム
 砂漠のなかで突然この町に出合ったら、きっと誰もが雷気楼だと思うだろう。熱く乾ぎきった空気のなかに立ち現れるシバームの町の光景はそれほど不思議な印象を与える。
 この町は世界最古の摩天楼の町砂漠のマンハッタンなどと呼ばれている。シバームそのものは紀元3世紀頃からこの周辺の中心地になっていたが、現在見られる摩天楼が造られ始めたのは8世紀頃。5〜8階建ての石と土のレンガで造られた建物は、高さ約30m。500ものビルが密集した町は、遠くから見ると、それ自体が大きな建築物のように見える。実際、ここは町そのものが砦になっており、高い建物の外壁が敵を防ぐ城壁の役目をしていたという。
 砂漠地帯の最大の見どころといってもいいシバーム。サナアの旧市街のように町全体が歴史を刻み込んだ博物館のようなところだ。1982年にはユネスコの世界遺産に指定されている。




 夕方までシバームの街を散策し夕暮れを待つ。近くの丘から夕日に赤く染まるシバームの町を撮影できるはずだったのだが、砂が舞っているため僅かに赤くなっただけ。とても残念!











背景原画




























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